分裂勘違い君劇場 西暦2026年の日本とは違う未来。
2026年。世界は変わった。
3D映像技術や遠隔操作により人類の生産性は劇的に向上した。しかし世の中を根底から変えたのは15年前に登場したY.Alternative社であった。
この会社は社員がとった行動のログ(ビデオ、アウトプット、発言等)から正確なパフォーマンスを導き出すシステムを開発した。これは全世紀末に登場したGoogleという先進的企業のビデオやアウトプットの検索技術、今世紀初頭に議論が盛んになった仮想通貨概念、外部市場自動調査等を利用した先進的な人材評価システムであった。
これにより社員の生産性の違いが明らかになり、パフォーマンスをあげた社員はその貢献度の分だけ収入を得ることが出来るようになったのだ。一方で大きくパフォーマンスを上げていないにも拘らずその地位やポジションで大きな収入を得ていた人間は低く評価される事となった。これで判明したことは生産性の違いは大きくても10倍程度であり、実際はいままでの収入の差ほど生産性の違いは無いことが分かった。
このシステムを導入した企業は効率的なパフォーマンスに対して人件費を効率的に抑えることで非常に大きな競争力を持つこととなった。それらの企業はそのマーケットを独占的に支配するほどであった。メガプレイヤーの市場寡占化が現実のものとなった。
一方Y.Alternative社はさらに人材を適所に配置するようシステムを改良した。これまでは創業者で経営者であったYamada氏が会社を運営してきたが、システムの指示によりチーフアーキテクトに異動することになった。またシステムが見つけてきた修道院のシスターが経営最高責任者に就任した。この人事異動は外部マーケットには大きな驚きをもって受け入れられたが、正直懐疑的な見方が多かったのである。しかし次の驚きがくるのにはそう時間はかからなかった。
この経営最高責任者はすぐさまこの会社を非上場の会社にしたのだ。
そして毎年の莫大な余剰金を社員の福利厚生を手始めに福祉、道路、公園、学校、図書館等公共事業に使い始めた。社員だけが使えるとかケチなこと言わない、皆に開放した。懐疑的な見方をしていた市場関係者はすぐさまそれみたことかと非難した。
しかしさすがにシステムの選んだ経営者である。前世紀には考えられないことが発生し始めた。この会社と統合したいという会社が現れ始めたのだ。不正な人材評価や社内のパワーバランスに飽き飽きしていた労働者がY.Alternative社を理想としていたためだ。最高経営責任者はすべてを了解し会社は世界で一番規模が大きい会社となった。
そしてフランス人民議会でフランス国がY.Alternative社と統合することが可決された。もともと共産主義が産まれた国であるフランスでは労働者の意見が強く、富の再配分を行うことにとても関心のある国であるとしてもである。。。ついに国家共同体になった。今世紀にはじめて誕生した次世代共産主義国家であった。国民全員が公務員でありこの正確な人材評価システムにより非常に大きな生産力をあげることが可能となった。適正にシステムが運用され、不正を働いてもハイリスクローリターンなのでだれも不正をしなくなった。
フランスはこれにより非常に大きな競争力を得て国民生活が豊かになった。そのためアジア、アフリカや南米の国が率先して統合を望んだ。この国家共同体はCUと呼ばれた。この国家共同体は全世界の3分の2を占めるにいたった。
ちなみにこの国家共同体は民主主義ではない。しかし平等である。衆愚政治と決別しシステムにより選ばれる皇帝を迎え入れる。まさに古代ローマがカエサルにより民主主義が終わったにも拘らずむしろ好意的に皇帝を受け入れたように、国家共同体が望んで皇帝を受け入れた。
そして最大の国家共同体となったCUは地球外コロニーの建設をしはじめた。。。
一方CUに統合しないで市場を独占している企業は都市国家(ポリス)となり、一大勢力を築き始めた。